トゥルーマンショー
映画のあらすじと概要
アメリカのある島で暮らす成人男性トゥルーマン。結婚して妻と二人暮らしをしている彼だが、実は生まれてからこのかた、この島を一歩も出たことがない。 実は巨大なテレビの舞台設備の中で暮らしていたのだ。本人以外は全てエキストラで、本人はその事実を知らず彼の人生は全てテレビドラマとして全世界に放送されていたのだった。
ただある事をきっかけに自分が住む世界の違和感に気づき始める...
映画のネタバレ・感想
リアリティーショーをアイロニカルに捉えた名作でした。最後のシーンは正直グサッときた。
「自分が住んでいる世界は実は...」というアイデアの骨格は、映画でいうと「マトリックス」、漫画でいうと「進撃の巨人」「約束のネバーランド」へと繋がる構造だと感じました。
陰謀論が大好きな私にとって非常に突き刺さる映画だったなあ〜〜。 主人公のトゥルーマンが、いい奴だけど臆病で、それなのに外の世界への冒険心も隠し持っている感じが好きだったな。
妻がいるのに「ローレン(本名はシルヴィア)」という女性を思い続け、彼女もテレビ画面からその様子を見ているシーンが感動的だったな。 彼女はドラマの出演中(トゥルーマンは知らないが)彼と恋仲になり、彼に唯一本当のことを伝えた人物。 (結局他のエキストラに精神障害者として連れて行かれるが)
彼女がのちに番組ディレクターと直接やり合う会話も印象的でした。
ストーリーやテーマについて
一つのテンプレを作ったという点で文句のない名作でした。 ただドーム(撮影舞台施設)の壁に船がぶつかり、主人公が空ではなく壁だと気づくシーンは 「もっと早く気づけるだろ...」 とくだらないツッコミを入れたくなりましたが。
「自分が住んでいる世界は実は...」という陰謀論的な考え方「全てには意味があり、誰か巨大な権力によって支配されている」 という考え方は、それに囚われ過ぎるとやばい方向に進みますが、誰しもが持つ感情なのではと思います。
社会への不満、格差など不都合なことをこの「陰謀論」に頼るのですが、トゥルーマンは決して不幸せな生活をしているのではないという点が印象的でした。
「何不自由なく生活はできている、ただ本当に自分がやりたい事ができていない。」
というテーマが浮き上がってきます。
リアリティーショーへの皮肉というテーマとは別に、この点が見ている人達の心をエグッて来ます。
心に残ったセリフ・キャラクター
クリストフ
テレビドラマ「トゥルーマンショー」のクリエイター。 この番組の生みの親であり、トゥルーマンショーに対して格別な思入れを持って番組制作をしている。 自分が行っている事に対して罪悪感は一切ない。 むしろトゥルーマンに安定した生活を提供し、最上のコンテンツを提供しているという自負を持っている。
シルヴィアとの対話で
「君が苛立っているのは、私にではなく、トゥルーマン自身がこの安定した生活から抜け出そうとしていない事に怒っているのでは?」
と問いただす場面が印象的。
キャラクター&キャストについて
トゥルーマン・バーバンク
主人公
クリストフ
テレビドラマ「トゥルーマンショー」の総監督
番組制作にすべてをかけている印象。
番組のためにトゥルーマンの人生を利用している一方で、彼を本当の自分の子供のように思っている感情をのぞかせる。
非常に複雑な魅力的なキャラクターとして描かれている。
この映画の監督は役者の役作りのために、10ページにも及ぶクリストフの伝記をつくったらしい。
そのなかではホームレスを題材にした映画を作成したことがあり、その映画で賞をとったそうな。
メリル・バーバンク / ハンナ・ジル
トゥルーマンの妻
トゥルーマンとの結婚式の写真で「中指と人差し指をクロスさせている」(神への謝罪懺悔を意味するらしい)
マーロン / ルイス・コルトラン
トゥルーマンの親友
ローレン・ガーランド / シルビア
トゥルーマンにかつて真実を伝えた唯一の人間であり、トゥルーマンの本当の想いびと
まとめ
一度は見るべき名作なのは間違いありません。 「トゥルーマンショー」というタイトルの響きと序盤の展開から 想像できないほど、見終わった後に色々考えさせられる映画でした。