ミッドナイトラン
あらすじ
元警察官の賞金稼ぎ(バウンディーハンター)の主人公ジャック・ウォルシュ。彼は保釈金ローン会社と契約を結び、逃亡した被告人を公判までに連れ戻してくることでお金を稼いでいた。 そのいつもの依頼人から頼み込まれてある仕事を請け負う事になる。
マフィアの金を不正に横領し、その金をなんと慈善団体に寄付した会計士ジョナサン・マデューカスを捕まえて欲しいという依頼だった。 その会計士はマフィアのボスにわざわざご挨拶の手紙を送りつけるほど変わり者とのこと。
少し違法な手口を使いつつ早い段階でターゲットを見つける事に成功する主人公だったが...
映画のネタバレ・感想
異色の二人の組み合わせパターンが秀逸な映画だった。「手錠のままの脱獄」を思わせるシーンが所々に散りばめられ面白かった。(ある意味意図的に挿入している?)
「ミッドナイトラン」はそもその「ちょろい仕事」という意味のスラングらしく、本来なら簡単に終わるはずの仕事が個性豊かなメンバーのおかげでゴタゴタになる物語。
この物語を理解するのに日本には馴染みのない「ベイルショップ(保釈保証業者)」を理解しておく必要がある。
保釈保証業者とは、逮捕された被疑者の保釈金を建て替えてあげる業者のことである。基本的に保釈金は期限内に被疑者が出頭し裁判を受ければ返金されるが、もし逃亡した場合は返金されず保釈保証業者が損害を被る事になってしまう。
そのため業者は被疑者を期限内に出頭させる必要があり、そのためにバウンティハンター(賞金稼ぎ)を雇っている。
犯罪が多いアメリカでは逮捕者を収監できる余裕がないので保釈されるケースが多いためこのようなシステムがあるらしい。
ジャックはこのベイルショップに雇われたバウンティハンターというわけだ。
「ジャックがなぜ刑事を辞めたか」という理由がこの先の「マフィアとのボスとの絡み」、「ジョナサンとの絡み」に深く関わるところが上手い構成だなと感じた。
ストーリーやテーマについて
ストーリーは本来は「ちょろい」はずの仕事が、個性豊かなメンバーによって「ゴチャゴチャ」する物語。
そのゴチャゴチャの中で主人公ジャックは「本来の自分」、「本当は何をすべきなのか」を考えて行くようになる。
ゴチャゴチャになる要因の一つがベイルショップのオーナーが、ジャックのことを信用せず、もう一人の賞金稼ぎ「マービン」をよこしてくる事。
マービンのキャラも中々憎めず面白い。
心に残ったセリフ・キャラクター
ジャック・ウォルシュ
元刑事のバウンティーハンター。
元刑事とは思えないほど「鍵のピッキング技術」「すりの技術」を持っている。が仕事は早い。 当初は落ちぶれた刑事の成れの果てというイメージだが、ジャックが刑事を辞めた理由はその反対で「正義」を貫いた結果だった。
シカゴで刑事をやっていた頃、マフィアとの馴れ合いの関係であったシカゴ警察の中でジャックは唯一不正に手を染めなかった刑事だった。だがそのことが原因で、濡れ衣の罪を着せられてしまい刑事を辞めざるを得なくなってしまった。
ジョナサン・マデューカス
マフィア組織の会計をしていた会計士(その組織がマフィアだと気付かないで働いていた)。 マフィア企業だと気づき、マフィアのお金を慈善団体に送金するという変わり者。
一方で飛行機も操縦できるのに、飛行機が怖いと暴れる演技をしたりしたたかな一面もある。
おしゃべり好きでジャックに質問ぜめをする場面も。
ジャックに「本当に何をすべきか」を気付かせるトリガーとなる人物
マービン・ドーフラー
いい感じで物語をかき回してくれる。いいやつなのか悪いやつなのかわからない感じが良い。 いつも同じパターンでジャックに騙し討ちされるところもパターンになっていて勉強になる。
・マフィアに追い詰められたところに現れるマービン。
手がらを横取りにしようとして現れるのだが、結果的に二人を助けている。(笑)
・マフィアのボスとの最後の駆け引きのタイミングで現れるマービン。
大切なタイミングで現れてしまい計画を無茶苦茶にしてしまうマービン。(笑)
でも憎めないヤツ。
まとめ
アクションシーンもあり、会話劇も楽しめる娯楽作品。
登場人物が個性豊かで単純な物語をうまいことゴチャゴチャにして(面白く)している基本形を知るならぜひ!!